対応可能 疾患名
原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍(胸腺種など)、良性肺腫瘍、悪性胸膜中皮腫、重症筋無力症、気胸(自然気胸、月経随伴性気胸など)、膿胸、胸壁腫瘍など
▶当院で実施している保険診療可能なダビンチ手術
教授紹介
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呼吸器外科 教授
須田 隆
教授
Takashi Suda
専門・実績
専門は、低侵襲手術(内視鏡手術、ロボット手術)、肺癌、縦隔腫瘍、重症筋無力症、気胸、悪性胸膜中皮腫などの呼吸器外科治療。2004年東海地区で初めて肺がんに対して、患者さんの身体に負担の少 ない完全鏡視下手術(内視鏡カメラで行う手術:胸腔鏡(きょうくうきょう)手術)を執刀。2007年世界で初めての悪性胸膜中皮腫に対する胸腔鏡手術を執刀、2009年本邦初のダビンチロボットによる肺がん手術を執刀、2011年前縦隔腫瘍(ぜんじゅうかくしゅよう:胸の中にできる胸腺腫などの腫瘍)や 重症筋無力症に対して、最も体の負担の少ない手術:単孔式胸腺摘出術(おなかのみぞおちに3cmの傷一つで行う手術:単孔式手術)を開発、2015年より3~4cmの傷一つで行う肺がん手術(単孔式手術)を開始。2019年ロボット支援下腕頭静脈人工血管置換術を報告。2020年ロボット支援下上大静脈人工血管置換術を開始。
現在まで、呼吸器外科手術執刀数1500件以上。経験呼吸器外科手術件数3000件以上。海外24施設、国内30大学病院を含む110以上の施設に対し、延べ200回以上の手術指導を行っている。著書に「1週間で退院できるがん手術」(幻冬舎)、呼吸器外科低侵襲手術(専門書)(南山堂)など。
呼吸器外科専門医
胸部外科認定医
日本外科学会外科専門医
日本外科学会外科指導医
日本呼吸器外科学会評議員
関西胸部外科学会評議員
東海外科学会評議員
日本呼吸器外科学会ロボット支援手術プロクター(指導医)
Active member of European Society of Thoracic Surgeon
Honorary fellow of Philippine Association of Minimally Invasive Thoracic Surgeons
単孔式胸腔鏡手術研究会 常任幹事
スタッフ紹介
准教授 | 栃井 祥子 医師 〇専門医等
日本外科学会外科専門医
呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医
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助教 | 栃井 大輔 医師 〇専門医等
呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医
日本外科学会外科専門医
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根木 隆浩 医師 〇専門医等
呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医
日本外科学会外科専門医
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師田 瑞樹 医師 ○専門医等 日本外科学会外科専門医 呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医 |
当科の特徴
藤田医科大学岡崎医療センターの呼吸器外科チームは、呼吸器外科に関するすべての手術(肺がん、縦隔腫瘍、胸腺腫、悪性胸膜中脾腫、重症筋無力症、自然気胸、月経随伴性気胸、膿胸など)に対応します。当科の特徴は、患者さんの病気の進行度に合わせた、最も体に負担の少ない方法を選択できることです。
現在、肺がんや縦隔腫瘍など、呼吸器外科手術の多くは胸腔鏡手術(きょうくうきょう)手術(カメラを胸の中に挿入して行う内視鏡手術)で行われるようになりました。しかしながら胸腔鏡手術には多くのバリエーションがあり、選択する方法によって患者さんの身体の負担の程度が異なります。すべての方法を行うことができる施設は非常に少ないため、ほとんどの患者さんは、受診した病院の得意な方法で手術を受けることになります。近年、新しい胸腔鏡手術として、ロボット手術と単孔式手術(1つの傷で行う手術)が注目されています。藤田医科大学岡崎医療センター呼吸器外科は、内視鏡手術のトップランナーとして、最新の技術と設備で、ロボット手術や単孔式手術を含めてすべての手術法を行うことができます。患者さんの病気の進行度に合わせて、最適な手術法をお勧めさせていただきます。他院受診中の患者さんに対して、呼吸器外科治療に関するセカンドオピニオンも受け付けています。
呼吸器外科の手術方法について
開胸肺がん手術
最近はあまり行われなくなりましたが、がんが進行していた場合などに行います。15~30cmの切開を行い、場合によってはろっ骨を一部切断してろっ骨を器具で大きく広げて手術を行います。
一般的な胸腔鏡肺がん手術
多くの施設で行われている胸腔鏡(きょうくうきょう)手術はこの方法です。1~4cmの切開を3~4か所行って、ろっ骨の隙間から手術をします。痛みとしびれは切開の傷に沿って生じますので範囲がやや広くなります。
単孔式肺がん手術
痛みやしびれが最小限になることが期待でき、美容的にも優れた方法です。手術操作に慣れが必要であるため、まだこの方法ができる施設は限られています。当院のチームは、この方法を2015年から行っており、我々はこの方法の指導を全国で行っています。多くの患者さんは、この方法で手術を受けられます。
ロボット肺がん手術
我々は、2009年11月藤田医科大学病院において日本で最初に肺がんに対するロボット手術を行いました。現在も全国でロボット手術の指導を行っています。ロボット手術の利点は、人間の手ではできない、より正確で高精度な手術を可能にすることです。ロボット手術は、今まで開胸手術でしか出来なかった難易度の高い手術に対しても患者さんの身体の負担の少ない内視鏡下手術で行うことを可能にします。ロボット手術はより難しい手術に向いています。傷は4~5か所、1~4㎝の切開で行います。
開胸胸腺手術
重症筋無力症や胸腺腫では胸腺をすべて切除(拡大胸腺摘出術、胸腺胸腺腫摘出術)する必要があります。この胸腺摘出術も多くの施設で胸腔鏡手術が行われていますが、施設によっては、胸腺を十分切除できないとして胸骨正中切開で行う場合があります。進行した胸腺腫(隣接する臓器や血管などに浸潤した場合など)も一般には胸骨正中切開で行われます。胸骨正中切開の欠点は、胸骨を縦に切断しなくてはならず、回復に時間がかかること、胸骨が化膿すると重篤な状態となる可能性があること、美容的に優れないことです。
一般的な胸腔鏡胸腺手術
単孔式胸腺手術(剣状突起下アプローチ)
2011年に我々が開発した二酸化炭素を併用した剣状突起下単孔式胸腺摘出術を紹介します。この方法は、おなかのみぞおちに3cmの切開一つで胸腺を摘出する方法です。傷が小さいこと、ろっ骨と関係しない場所からの手術であるため前述のしびれ(開胸術後疼痛症候群)が生じないこと、痛みが少ないことが利点です。患者さんに大きなメリットがあります。この手術は、手術に慣れが必要なため、全国でもこの手術ができる施設は限られています。我々は、ほとんどの胸腺摘出をこの方法で行っており、150例以上の経験があります。重症筋無力症の方でも、両側の胸腺および周囲脂肪組織を含めて完全な切除が可能です。この手術を受けるために私共のところに全国から患者さんが受診されています。
一般的なロボット胸腺手術
胸腺摘出術もロボットで手術を行う場合があります。施設によっては、胸腺摘出術をすべてロボットで行うところもあります。一般的には片側の側胸部に3~5か所切開して行います。この手術法も、ろっ骨の間から行う手術ですので、約10%の方に痛みやしびれが残ると言われています(開胸術後疼痛症候群)。
剣状突起下アプローチによるロボット胸腺手術
この方法は、2015年我々が開発した方法で、剣状突起下(みぞおち)からの方法とろっ骨の隙間から行う方法を組み合わせた方法です。この方法は、胸腺全体を観察することができ、より難しい手術を内視鏡下にできるので、今世界で大変注目されている方法です。我々は、血管(上大静脈や左腕頭静脈など)や周囲臓器(肺や心膜など)に浸潤(進んでしまうこと)してしまった胸腺腫に対してこの方法で手術を行います。もし他施設で胸腺腫や前縦隔腫瘍と言われ、開胸手術が必要と言われた場合でも、当院では胸を開かずにロボットで体の負担を減らして手術を行うことができる場合があります。ご相談ください。
一般的な気胸手術
一般的に気胸の手術は、胸腔鏡手術で行われます。この場合3か所1cm程度の切開を行うのが通常です。
単孔式気胸手術
我々は、気胸の手術でも単孔式で行います。傷は2cmの切開1か所です。
手術早見表
診療実績(2020年4月~2022年3月)
手術名 | 手術件数 |
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原発性肺癌手術 | 296件 (内視鏡手術92.9%のうち傷一つで行う単孔式手術86.8%、ロボット手術6.1%) |
その他手術 | 259件 |