脳神経外科

当科は脳卒中や頭部外傷などの救急疾患を中心に、脳血管障害全般、脳腫瘍全般の診療を行います。特に脳血管内手術や内視鏡手術など低侵襲の先端的な治療に力を入れたいと考えております。脳血管内手術ではフローダイバーターやステントを用いた大型・治療困難な動脈瘤の血管内手術、最新の液体塞栓物質(Onyx)を用いた脳動静脈奇形の塞栓術、頸部頸動脈狭窄症のステントによる治療など、最先端のものを含めた種々のデバイス(治療機器類)を駆使して治療致します。

対応可能 疾患名

救急疾患としては、脳卒中(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞)、頭部外傷が中心になります。脳卒中の原因には種々の脳血管障害(特に脳動脈瘤、脳動静脈奇形=AVM、硬膜動静脈瘻、頭頚部血管の狭窄・閉塞病変、脊髄動静脈奇形・動静脈瘻など)がありますが、これらに対しては脳卒中を発症した急性期の治療および予防的手術も行います。そのほかに、脳腫瘍全般、三叉神経痛、顔面けいれんなどの手術も対応致します。

対応不可能な疾患は、てんかん手術などの機能的手術および脊椎疾患ですが、上記のように脊髄動静脈奇形・動静脈瘻などの血管奇形は対応致します。

教授紹介

  • 定藤 章代

    教授

    Akiyo Sadato

    定藤 章代

    専門・実績

    1986年 京都大学医学部卒業、同脳神経外科勤務、国立循環器病センター
         京都市立病院、米国留学、京都大学脳神経外科助手 等を経て
    2005年 藤田保健衛生大学 脳神経外科 講師
    2017年 同 臨床教授
    2020年 4月より現職

    〇専門
    脳血管障害の中で、特に脳血管内手術(カテーテルを用いた切らない手術)を専門にしております。
    1990年より脳血管内手術を専門領域として京都大学大学院在学中は血管内手術に用いるデバイスの開発研究を行っていました。医療機器メーカーとの共同で即時離脱型コイルを開発し、現在も唯一の国産コイルとして脳動脈瘤の治療に一般に用いられています。
    藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)においても多くの血管障害の血管内手術を経験し、脳卒中や脳卒中の予防的治療に携わってきました。最も多く経験したのは脳動脈瘤の治療で、現在はコイルのみでなく、ステントやフローダイバーターを用いた治療を行っています。また、頸動脈狭窄、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻などにも多くの血管内手術を行ってきました。
    岡崎医療センターにおいても、これまでの経験を活かし、血管内手術を含めてそれぞれの患者さんに応じた最良の方法を選択して治療致します。

    専門医・指導医資格
    脳神経外科学会 専門医・指導医
    脳神経血管内治療学会 専門医・指導医
    脳卒中学会 専門医・指導医
    脳卒中の外科学会 技術指導医

    アピールポイント

    血管内手術や内視鏡手術などの低侵襲の先端的な治療を中心にしつつ脳神経外科全般の治療を行います。当科の専門外(脊椎、てんかん手術)の場合は本院との協力体制のもとで診療いたします。

スタッフ紹介

  • 山城 慧 助教

    〇専門医等
    日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
    日本脳卒中学会脳卒中専門医
    日本神経内視鏡学会技術認定医
    医学博士(Ph.D.)

  • 大見 達夫 助教

    〇専門医等
    日本脳神経外科学会脳神経外科専門医

  • 若子 哲 助教

    〇専門医等
    日本脳神経外科学会脳神経外科専門医

脳血管内手術について

カテーテルを用いて血管の病気を治療する手術を血管内手術と総称しています。血管内手術が通常の切開する手術と大きく異なるところは、脳の深部の血管で直接には達することができない場合でも血管の中からであれば容易に到達でき治療が可能となることです。また、局所麻酔でも行え、全身麻酔を必要としないこと、切開しないので傷跡が残らないため身体的な負担が小さく、見た目の問題も残らないこと、脳に直接触らないことなどです。
血管内手術は使用するデバイス(カテーテル、バルーンやステントなど器具類一般)の発展に伴い、治療できる疾患の範囲が着実に広がってきています。1970年代に小さいバルーンカテーテルで始められましたが、1980年代に脳内の血管にまで進めることができるマイクロカテーテルができ、1990年代に動脈瘤を塞栓するコイルや狭窄血管を拡げるステントができたことが大きな発展といえます。2010年代前半は、動脈瘤の治療をさらに効果的にできる動脈瘤専用のステントや脳動静脈奇形の治療効果が高まる液体塞栓材料(Onyx)、血管に詰まった血栓を取り除くための吸引型カテーテルや血栓除去用ステント、2010年代後半は治療困難な大型の動脈瘤にも有効なフローダイバーターというデバイスなどが新たに使用できるようになりました。血管内手術の発展は止まるところがない、といっても過言ではありません。
血管内手術は通常の切開手術とは手技が大きく異なるので、専門的な知識や手技を習得する必要があります。このため 2000年11月に脳神経血管内治療学会により認定医制度が実施されました。同学会の定める認定医には指導医、専門医があり、いずれも血管内手術の経験数や、専門的知識を問う筆記・実技試験などをもとに認定されます。

脳動脈瘤や動静脈奇形に対して種々のデバイスを用いて血管内手術を行っています。

閉塞性脳血管障害に対する血管内手術について

その他の脳血管障害に対する血管内手術

内視鏡手術について

内視鏡手術では低侵襲かつ安全に脳内出血や深部の腫瘍性病変にアプローチできます。

3D画像を駆使してアプローチの難しい部位や複雑な病変の手術を行います。

“Time is Brain” という言葉について

脳卒中はできるだけ早く治療を開始する必要があります。特に発症から4.5時間以内の脳梗塞には「アルテプラーゼ」という血栓を溶かす薬の静注療法が有効です。このため救急隊の方が脳卒中の可能性があるかどうかを判定するためのスケール(脳卒中病前スケール:FAST)があります。簡単な判別方法なので、患者さん本人や家族にも判別がある程度でき、有用です。
また、アルテプラーゼ静注でも改善しにくいのが、脳の主幹動脈(多くの分岐血管の幹に当たる太い血管)が閉塞している場合ですが、主幹動脈閉塞かどうかも下記のELVOスケールや GAI2AA スケールで予測することができます。主幹動脈閉塞では血管内手術による血栓除去術が有効ですが、これも一般に発症から6時間以内に開始する必要があります。

このように、脳梗塞から脳を守るために発症からの時間が極めて重要で、少しでも早く診断して適切な治療ができるよう、CTやMRIなどの特殊な検査以前にまず症状のみから脳梗塞を起こしかけているのか、重症なものかどうか、を予測できるように前述のようにFAST, ELVO, GAI2AAが使用されています。
 

脳卒中病前スケール :FAST

顔の片側が下がる、ゆがむ (Face)
片方の腕に力が入らない (Arm)
言語の障害、ろれつが回らない(Speech)

上記の3つのうち一つでもあれば脳卒中が疑われます。発症した時刻(Time)や内服している薬の情報も大変重要です。

また激しい突然発症の頭痛はくも膜下出血が疑われます。過去に経験がないほどの強い頭痛で、ハンマーで殴られたようにある時点から突然に起こるのが特徴です。

以上のような場合はすぐに救急車で来院する必要があります。

主幹動脈閉塞を予測するスケール: ELVO, GAI2AA

これらは救急隊と病院の間の情報伝達において使用するスケールで、主幹動脈閉塞が疑われれば血管内手術による血栓除去が行える施設に搬送し、病院側もその準備をすぐに開始するためのものです。どちらのスケールも広範囲で重症の脳梗塞を起こしつつあることを示すものです。

ELVO (エルボー)
共同偏視 (眼の位置が正中か)
物品の呼称の障害(腕時計を見せて何であるか問う)
無視 (4本指を見せて何本か問う)

1個以上あてはまれば陽性

GAI₂AA (ガイア) 
Gaze palsy (注視麻痺・共同偏視) 2点
Aphasia (失語) 2点
Inattention(無視) 2点
Arm paresis (上肢の麻痺) 1点
Af (心房細動) 1点

合計3点以上で陽性。

紹介医療機関の先生方へ

当科は脳動脈瘤や頸動脈狭窄といった脳血管障害の治療を積極的に行っています。
これらは一過性の運動麻痺や、視力低下、視野欠損、眼球運動障害、眼球結膜充血といった眼科的な症状、拍動性耳鳴や聴力低下といった耳鼻科的な症状で発症することも多いため、疑わしい場合はご紹介ください。

当院へ患者さんを紹介くださる医療機関の方へ